さいたま市市民活動サポートセンターの利用団体の中に原発や憲法9条、拉致問題など政治的テーマを扱う団体があることを自民党市議らが問題視しした件について、まず特定非営利活動法人(以下、NPO法人)と政治活動の関係から見ていきました(NPO法人と政治活動の関係について)。

では次に、さいたま市の条例から今回の問題について考えていきたいと思います。さいたま市市民活動サポートセンター条例では、第1条に設置目的、第5条に利用資格が規定されています。

第1条 さいたま市市民活動及び協働の推進条例(平成19年さいたま市条例第19号。以下「推進条例」という。)第8条の規定に基づき市民活動(推進条例第2条第2号に規定する市民活動をいう。以下同じ。)を支援し、その活性化を図るため、さいたま市市民活動サポートセンター(以下「センター」という。)をさいたま市浦和区東高砂町11番1号に設置する。

第5条 施設等のうち、多目的展示コーナー、団体ロッカー、メールボックス及び貸出機材(以下「貸出施設等」という。)を利用することができる者は、市民活動団体(推進条例第2条第3号に規定する市民活動団体をいう。)であって、市内で主たる活動を行うものとする。
2 貸出施設等を利用しようとする者は、あらかじめ利用の登録をしなければならない。

このように、さいたま市市民活動サポートセンターは「市民活動を支援し、その活性化を図る」施設で、その貸出施設を利用できるのは「市民活動団体」であると定められています。

この条例でいう「市民活動」「市民活動団体」は、さいたま市市民活動及び協働の推進条例(以下、推進条例)の第2条において規定されています。

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に居住し、若しくは滞在し、又は通勤し、若しくは通学する者をいう。
(2) 市民活動 市民が地域又は社会における課題の発見及び解決のために、自発的かつ自主的に行う非営利で公益的な活動をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く。
ア 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、又は信者を教化育成することを目的とする活動
イ 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを目的とする活動
ウ 特定の公職(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第3条に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とする活動
(3) 市民活動団体 市民が自由な意思に基づいて集まり、自律的に市民活動を行う団体をいう。

政治にかかわるのは第2条(2)のイとウです。これらの条文は特定非営利活動促進法(以下、NPO法)第2条2項2号のロとハとほぼ同じ文言であることがわかります。推進条例のイでは「主たる」という言葉が入っていないのが違いです。

よって、推進条例での市民活動の規定は、NPO法でのNPO法人についての規定をもとにしており、その条文の解釈はNPO法のものを基本的に引き継いでいると考えられます。もし別な解釈がされるように条例をつくりたいのであれば、条文をNPO法とは異なる表現にするはずだからです。

推進条例の定義からすると、ここでいう市民活動からは、(たとえ従たる目的であっても)政治上の主義の推進等を目的とする活動および特定の公職者等を推薦する等を目的とする活動は除かれるということです。

つまり、ここでも「政治上の施策」の推進もしくは反対の活動は制限されていませんし、「目的とするもの」でなければ、市民活動団体が結果として特定の公職の候補者の推薦等とみなされる活動を行うことまでは否定されていないと言えるでしょう。

報道によると、自民党市議らによって問題とされたのは原発や憲法9条、拉致問題などを扱う団体とのことした。個別の団体の具体的な活動についてはわからないので一般論になりますが、これらの団体がその活動目的にもとづいて政治上の施策の推進あるいは反対をすることや、扱うテーマから特定の政党・政治家の政策に賛成あるいは反対の活動をすることは、推進条例の市民活動の定義からは外れないと考えられます。

上述のような解釈の範囲内において問題がないにもかかわらず、この推進条例の条文を拠り所として市民活動と政治の関係を問題視するのであれば、それは条例の解釈を恣意的に変えていることになるでしょう。

続きの文章を書きました→【さいたま市市民活動サポートセンター指定管理制度停止問題】なぜ声を上げなければならないのか – 市民的公共の観点から