NPOの資金調達セミナーで話してきました

 3月5日のことなので少し前の話になってしまいますが、NPOの資金調達セミナーで話してきました。調子に乗って発表のときのスライドをアップしたので、このブログにも自分の活動の記録として載せておきます。

コミュニティオーガナイジングと社会運動

 ふらっとーほくの松島さんのお誘いで、コミュニティオーガナイジングの説明を聞く機会がありました。

ハフィントンポストでの紹介記事はこちら→「日本人に眠る能力を引き出したい」オバマ氏を大統領にした「コミュニティオーガナイジング」を広める鎌田華乃子さんに聞く「未来のつくりかた」

 コミュニティオーガナイジングを平たく言うと、社会運動すなわち市民による社会変革の手法を体系化したものとなるでしょうか。提唱者のマーシャル・ガンツ博士は60年代の公民権運動を始め、さまざまな草の根の市民運動に実際にかかわってきたそうです。2008年のアメリカ大統領選挙で、オバマの選挙参謀も務めたとのこと。さらに市民団体向けにコミュニティオーガナイジングのワークショップを開催しているそうです。

 それで思い出したのが国際青年環境NGOのA SEED JAPANが出していた本。『NGO運営の基礎知識』というタイトルで、今は絶版になっています。アマゾンのマーケットプレイスでお安く売っているので、NPOで活動している人だったら即買いすべし。

 A SEEDは、日本でようやくNPOという言葉が使われつつあった90年代から、市民活動のトレーニング手法をアメリカから学び、また自分たちでもプログラム開発を進め、それをまとめたのがこの本。98年に出された本ですが、内容的には今でもそれほど古びてないと思います。草の根市民団体や、学生団体などに特におすすめ。コミュニティオーガナイジングの手法とも重なる部分があるのではないかと思います。

 NPOで活動している人たちが、こうした社会運動の体系だった手法を学ぶのも大事ですが、社会運動そのものの理論を学ぶことも大事なのではないかと思っています。みんながみんな、小難しい理論を学ぶ必要はないですけど、概要くらいはね。

 大多数の人は知らないでしょうが、世の中には社会運動論という学問領域があって、実は私もそういうのをかじったことがありました。社会運動についてざっくりわかって読みやすい本と言えば、小熊英二さんの『社会を変えるには』が挙げられます。こちらはわりと最近出た本で2012年に出版されました。

 固い内容のわりにはけっこう売れたので、読んだことのある人や、名前を聞いたことがある方もいるかもしれません。新書なのに500ページを超えているのでけっこう分厚いです 笑

 小熊さんは歴史社会学が専門で、社会運動論の専門ではないため、かえって説明がわかりやすくなっています。また、社会運動の背景となる社会思想とか科学技術社会論などについてもページが割かれていて、現在私たちがいる社会の位置が確認できます。

 自分自身でも再度読み直してみたいと思います。

子どもの学力に影響するものは何か?

 全国学力テストと親の収入や学歴、読書活動、生活習慣などとの関連についての文科省の調査の結果が新聞各紙で取り上げられています。それぞれ見出しで各紙がどこを強調しているかがわかります。

高収入・高学歴の家庭、学力も高く…文科省調査 (読売新聞) – Yahoo!ニュース

年収高いほど子は好成績 文科省、全国学力テスト結果分析 :日本経済新聞

東京新聞:本、新聞読み正答増 学力テスト 国語、算数とも顕著:社会(TOKYO Web)

時事ドットコム:学歴・収入で子に学力差=勉強習慣、親の関与も影響-学力テストで分析・文科省

学力テスト好成績 親の経済力も相関関係 文科省調査 – MSN産経ニュース

 とりあえず、私が検索して目についたところをリンクしました。

 「親の年収・学歴が高いと子どもの学力も高い」ということが改めて裏付けられた結果となりましたが、なぜ「親の年収・学歴が高いと子どもの学力も高い」のかは、これらの記事からは必ずしも明らかになっていません。親の年収が高いと子どもを塾に通わせるなど、教育にお金をかけることができ、学歴が高い方が教育熱心だからというのが一番わかりやすい説明でしょうが、私はどちらかというとむしろ文化資本の違いの方が子どもの学力に対する影響として大きいのではないかと考えています。

 また、私が注目したのは以下のことです。上でリンクした産経新聞の記事より。

 親の経済力が低くても正答率が上位25%に入った子供の生活習慣として、(1)朝食を毎日食べ、毎日同じくらいの時間に寝ている(2)親と勉強や成績のことについて話をする(3)学校の宿題をし、規則を守る-などの特徴がみられた。

 全国学力テストの成績が都道府県別でトップなのは秋田県です。その一方で、秋田県の子どもたちの通塾率は全国で一番低い。また、秋田県の子どもは朝食摂取率が高く、早寝早起き率も高いというデータがあります。

全国学力テスト [ 2013年第一位 秋田県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
小学生通塾率 [ 2013年第一位 神奈川県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
中学生通塾率 [ 2013年第一位 奈良県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]

小学生朝食摂取率 [ 2013年第一位 島根県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
中学生朝食摂取率 [ 2013年第一位 秋田県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
小学生早寝早起き率 [ 2013年第一位 静岡県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
中学生早寝早起き率 [ 2013年第一位 長野県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]

 秋田県人が他県と比べて高学歴・高年収かというとそんなことはないわけです。だから、子どもを塾に通わせるよりも、子どもに早寝早起きをさせて、朝食をちゃんと摂らせ、学校でしっかり勉強させることの方がよっぽど低コストで学力向上につながるのではないかと思います。このへんをさらなる調査で明らかにしていってほしいところです。

震災から4年目の中間支援組織の役割について

 改めて、課題へのフォーカスが必要ではないか、ということを考えています。

 ともすると、中間支援組織は、NPOが活動している内容を通してしか課題を見ていないので、そこから見えること以上のものを把握できないおそれがあります。その場合、課題はあるのにそれに取り組むNPOがないため、課題の存在自体が見えないということが生じます。

 それから、今、復興支援活動として行われているNPOの事業のうち、ある程度の規模以上のものは公募助成の資金によることが多いのではないかと思いますが、公募助成にも同じような問題があると考えています。

 公募の助成金の審査では、当然ながら申請されてくる案件に対してフォーカスされます。申請事業はどのようなものか、申請団体は申請事業を遂行するだけの力量はあるか、信頼できる団体かとか。課題の大きさについては、多少は考慮されるでしょうが、それ自体が審査の対象になるわけではありません。それよりも、この事業は持続可能じゃないからとか、この団体は力量が足りないからとか、そういう理由で助成金は不採択になってしまいます。公募の助成金なのだから、それは当たり前のことです。

しかし、助成金が不採択になって、その課題に取り組むNPOがなくなったとしても、課題はそのまま残ります。また、公募しても誰も手を挙げない課題については、やはりそのままです。

 そうした状況を踏まえた上で中間支援組織が何をすべきか。私が考えているのは次のことです。丸数字は優先順位です。

 課題を特定した上で、

①課題と担い手をつなげる
②担い手同士をつなげる
③担い手と、課題解決に必要な社会的資源や外部支援者をつなげる

 そして、これと並行して「担い手を支える」があると考えています。また、課題に対する「嗅覚」を研ぎすますこと、自らも課題について調べてみることというのが前提です。

 そこで地星社でも、こうした動きをしていくべくちょっとずつ準備を進めています。被災地の「子ども」や「子ども支援」に重点を置いて情報を集め始めているのもその一環です。この他にも、ある特定の課題で、動きをつくっていきたいと思っているものがあります。

 また、当然ながら地星社だけでどうにかなる話ではなく、多くのみなさんと協力しながら進めていかないとどうにもならないことばかりです。布田としては今こんなことを考えていますということで、ここに載せておきます。

脱・助成金依存

 NPO向けの助成金申請セミナーは数多くあるけれど(私もつい先日講師で喋ってきたけれど)、震災から4年目を迎える被災地のNPOにとっては、脱・助成金依存セミナーの方が必要なのではないかと思いました。

 とにかくこの3年間は、震災後、急激に増えた社会的課題に立ち向かわなくてはならず、特に地元の団体は助成金・補助金を主な資金源にするしかなかったと思います。だからこそ、地星社でも助成金の情報を提供し続けてきました。

 しかし、助成金・補助金はいつまでも続くものではありません。特に収入のほとんどが助成金である場合、脱・助成金依存を図らないと、持続可能な事業とはならないでしょう。

・その問題に取り組む別の担い手を育てる(当事者に近いところで)。
・その問題を緩和させる別の取り組みをする。
・問題が悪化しないよう予防的な事業をする。
・何らかの手段で対価が得られるようにする。
・継続的に寄付を得られるようにする。
・行政の仕事にする(委託事業になるようにする)。
・それでも足りない分を助成金で得る。

 脱・助成金依存に特効薬があるわけではなく、上に挙げたようなことをそれぞれ時間をかけて取り組むしかないと思います。時間をかけないとできないことだから、早めに取り組み始める必要があります。

 というようなことを、どこかで議論できるといいんだけど。

生活保護—知られざる恐怖の現場(今野晴貴)

 NPO法人POSSE仙台支部の渡辺さんにインタビューに行ったときに、生活保護やブラック企業の話も出てきて、POSSE代表の今野さんが書いた『生活保護』(ちくま新書)と『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(文春新書)をその場で購入させていただきました。2冊とも読み終えたので、まずは『生活保護』についての感想など。

 NPO法人POSSEは、若者の労働相談や生活相談を行っている団体。本書では、1500件を超える相談対応の経験をもとに、生活保護における違法行政の実態が紹介され、こうした問題が起きる構造についての分析がなされています。

 この本を読んでわかったこと、感じたことなどいろいろありますが、何がすごいかって、生活保護の申請拒否の実態があまりにもひどいこと。最初に取り上げられているのは、京都府舞鶴市に住むシングルマザーBさん(30代)の事例。Bさんは所持金が600円しかなく、生活保護を申請しようと市の窓口に行ったところ、申請書を渡してもらえないため、2012年6月、POSSE京都支部に相談しました。

 そもそも申請書がもらえないという時点でかなり驚きなのですが、書いて持っていっても受け取らないというひどさ。POSSEのスタッフが申請に同行して、そのときの役所とのやり取りが生々しく描かれています。やや長くなりますが、引用します。

 同日午後、今度はBさんの申請に京都POSSEスタッフ3人が同行した。しかし、やはり申請書をもらうことができず、職員に理由を聞いても「もう午前中に話した」としか答えない。
(中略)
 フロアにはC氏と同じ保健福祉係の職員も何名かいたが、「担当じゃないのでわからない」「(C氏を)呼びに行っている」と言うばかりでとりつくしまがない。1時間近く待ってもC氏が姿を現さないため、私たちが自前で用意した申請書を提出しようとしても、職員は「わからない」「受け取る担当ではないので」などとしか答えない。
(中略)
 申請書を受け取ってもらうため、私たちが閉館時間を過ぎても職員と押し問答をしていると、C氏が戻ってきて「もう時間です。業務は終わりました」「もう帰ってください!」と強い口調で怒鳴りだした。しまいにはC氏の「みんな業務の邪魔になるよな!」という声に呼応して、数名の職員が立ち上がって「はい、そうです」「帰ってください」と口々に言いだす、という異常な状況。
 Bさんは申請書をカウンターに置き、「申請します」とはっきり伝え、私たちはその場を後にした。私たちが帰る後ろから、「それは受け取れませんよ。持って帰ってくださいよ!」「Bさん!Bさん!忘れ物ですよ!」と申請書を突き返そうとする職員の声が何度も聞こえてきた。

 当たり前ですが、舞鶴市役所のこうした対応は違法です。このやり取りをしている間にも、POSSEのスタッフは厚労省や京都府の担当者に電話をかけ、舞鶴市役所に指導してもらうのですが、それでも現場の対応が変わらないというのだからある意味筋金入り。

 本書では、こうした「水際作戦」の事例が次々と紹介されていきます。紹介されているのは、どれもここ数年の事例です。また、生活保護受給者に対しても、さまざまなハラスメントなどにより、無理矢理「自立」させて、生活保護から追い出す事例も少なくないようです。

 なぜこうした違法行為がまかり通るのか。行政の財政難から、保護費を削減/抑制したいという予算削減圧力が働くこと、生活保護の決定を担うケースワーカーの人手不足・専門性不足などが挙げられています。

 生保受給者に対するバッシングや世論が、行政の違法行為を支えている側面もあるでしょう。だからこそわれわれは生活保護の実態をもっとよく知る必要があると思います。

 困っている人を見たら助ける、社会的に弱い立場にある人に親切にするというのは、人間の道徳の基本だと思いますが、「道徳教育の強化」を掲げている国が、困っている人を助けず、社会的に弱い立場にある人に厳しいというのはなんとも解せないことです。

バレンタインにまつわる寄付の話題

 気づいたらいつの間にか今年のバレンタインデーも終わっていましたが、バレンタインにまつわる寄付のニュースを見つけたのでご紹介します。

 まずは、義理チョコをやめてその分を寄付にという取り組みを2件。

”義理チョコ代でチャリティ募金”のすすめ(Excite Bit コネタ) – エキサイトニュース(1/2)

 共栄火災海上保険では、「“義理チョコ、あげたつもり・もらったつもり”バレンタイン・チャリティ募金」として、義理チョコの配布やホワイトデーのお返しの代わりに、一口500円を募金で集め、NGO「マザーランド・アカデミー・インターナショナル」を通して、西アフリカ・マリ共和国の難民キャンプへの支援活動資金として寄付しているとのこと。1993年から続けていて、今年で22年目。これまで21年のの募金の総額は2981万円というからなかなかすごいですね。

義理チョコやめ寄付 住友別子病院、新居浜市に : 愛媛 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 こちらは愛媛県新居浜市の住友別子病院での取り組み。こちらも同様に義理チョコやホワイトデーのお返しをやめて、寄付することにしたとのこと。一口500円で募金額を申請すると給与から天引きされる。今年は約150人が参加して、寄付額が15万円だから、平均二口寄付しているということですね。寄付先は新居浜市。

 次は寄付つきチョコの話題。

チョコを1つ購入すると、アフリカの子どもに学校給食1食分をプレゼント OisixでTABLE FOR TWOチョコを期間限定発売:産経関西(産経新聞大阪本社情報サイト)

 OisixとTABLE FOR TWOのコラボ商品。個数限定で販売していて、完売次第終了とのこと。チョコレート1個につき20円が寄付金となり、TFTを通じて飢餓に苦しむ途上国の子どもたちの食料支援に使われるそうです。チョコレートは税込525円。

 こういう年中行事に合わせて寄付を集めるのも一つの方法ですね。