こんなことを考えた

社会の課題解決にチャレンジするのは市民の権利である

地星社は「社会をよりよくする活動を行っている人や組織を支援し、増やしていくことで、私たちひとりひとりが地域づくり・社会づくりにかかわっていく社会の実現する」ことを目的として掲げている。

ではなぜ、「私たちひとりひとりが地域づくり・社会づくりにかかわっていく社会」を目指すのか。それについてはこれまで、震災後の新しい地域づくりには住民ひとりひとりのかかわりが必要であるということや、少子高齢化の社会の中でそれぞれの主体の合意形成が重要になることなどを挙げてきた。

しかし、自分でそう言っていながらややしっくり来ていない部分もあって、もっと本質的なことがあるのではないかと問い直してみた。

ひとりひとりのかかわりが必要とか、それぞれの主体の合意形成が重要などと言ってしまうと、地域づくり・社会づくりに参加することが義務のように受け取られてしまう。

そうではなく、地域づくり・社会づくりに参加することや、社会の課題に取り組むことは市民の権利なのだ。社会をよりよくしたいと思った人が、そのために何かに取り組む。その権利を擁護する、権利の行使を支援するのが地星社の役割と考えるともっとしっくりきた。

故・加藤哲夫さんは「ポイ捨てごみを拾うのは、市民の権利だ」と言って、その例から市民の自発的な問題解決行動の意義を説いていらっしゃったがまさにそれだ。社会の課題解決にチャレンジするのは市民の権利で、地星社はその権利を擁護する存在なのである。

というわけで、今度からこっちの説明を使おう。

たとえ一人の作業であっても、マニュアルをつくってみると便利だよ

地星社の現場の業務は、基本的にフダが一人で担っていて、そこにボランティアや役員、会員がかかわってくれるという感じです。

だから、自分がやり方をわかっていればそれで済むことがほとんどで、これまで業務マニュアルをつくることもありませんでした。
しかし、いつか誰かにお願いできることもあるかもと思い、ある定型的な業務についていつもやっている手順を書き出し、簡単なマニュアルをつくってみました。

で、マニュアルをつくってみると、自分が次にその作業をやるときにいちいち次の手順を思い返さなくてよいので、けっこう効率よくできるようになりました。さらに、マニュアルをつくったことで業務の改善ポイントが見えやすくなり、抜けていた項目を追加したり、順番を入れ替えたりして、作業の効率をより高めることができました。人に手順を伝えるということだけでなく、自分用にも役立つものなんだなーと。

今更ながらのことかもしれないですけれど、自分としてはひとつの発見だったので、ここに書き残しておきます。たとえ一人の作業であっても、マニュアルをつくってみると便利だよ、と。

信頼と信用

信頼…関係性にもとづくもの
信用…外形的な能力や決まり、契約等にもとづくもの
※日常的な言葉の用法ではなく、フダによる便宜的な概念上の区分け

この区分けで言うと、信用は早くつくり出せるけれども、信頼は早くつくり出すことはできない。

例えば、ソーシャルベンチャーがあったとして、ビジネスモデルとか事業計画がしっかりしていれば、能力があるということはすぐわかる。だから、そこに信用が生まれ、助成機関なり、ベンチャーキャピタルなりが、じゃ、お金を出しましょうということになる。

それに比べると、信頼はそう簡単にはつくれない。小さな実績を双方が積み重ねていくことでできていく関係性で、つくるのには時間がかかるが、崩れるのは早い。

ソーシャルベンチャーのつまづきって、信頼と信用をごっちゃにして、信頼も早くつくり出せると錯覚しているから起きていることってわりとあるんじゃないかな。

わかりやすいモノやサービスをつくって、対価を取るビジネスであれば、信頼はなくても信用があればある程度まわると思うんですよ。だけど、人と人との関係性の基盤の上にあるビジネスはそうはいかない。

というようなことを、さなぶりファンドの公益認定記念フォーラムの帰り道に青葉通りを歩きながらつらつらと考えてました。
さなぶりファンドの助成先団体さんは、さなぶりについて「よく現場まで足を運んでくれて、相談に乗ってくれた」「信頼感があった」と大絶賛で、それは関係性を丁寧につくってきたことの現れでしょう。
そういうのがやっぱり大事なんですよね。うちも見習いたいです。

もう一つ考えていたのが、中間支援団体とか助成財団による、「信用」の前貸し/「信頼」の前貸し問題についてなのだが、まだ考えがまとまっていないので、とりあえず置いておく。

NPOの資金調達セミナーで話してきました

 3月5日のことなので少し前の話になってしまいますが、NPOの資金調達セミナーで話してきました。調子に乗って発表のときのスライドをアップしたので、このブログにも自分の活動の記録として載せておきます。

子どもの学力に影響するものは何か?

 全国学力テストと親の収入や学歴、読書活動、生活習慣などとの関連についての文科省の調査の結果が新聞各紙で取り上げられています。それぞれ見出しで各紙がどこを強調しているかがわかります。

高収入・高学歴の家庭、学力も高く…文科省調査 (読売新聞) – Yahoo!ニュース

年収高いほど子は好成績 文科省、全国学力テスト結果分析 :日本経済新聞

東京新聞:本、新聞読み正答増 学力テスト 国語、算数とも顕著:社会(TOKYO Web)

時事ドットコム:学歴・収入で子に学力差=勉強習慣、親の関与も影響-学力テストで分析・文科省

学力テスト好成績 親の経済力も相関関係 文科省調査 – MSN産経ニュース

 とりあえず、私が検索して目についたところをリンクしました。

 「親の年収・学歴が高いと子どもの学力も高い」ということが改めて裏付けられた結果となりましたが、なぜ「親の年収・学歴が高いと子どもの学力も高い」のかは、これらの記事からは必ずしも明らかになっていません。親の年収が高いと子どもを塾に通わせるなど、教育にお金をかけることができ、学歴が高い方が教育熱心だからというのが一番わかりやすい説明でしょうが、私はどちらかというとむしろ文化資本の違いの方が子どもの学力に対する影響として大きいのではないかと考えています。

 また、私が注目したのは以下のことです。上でリンクした産経新聞の記事より。

 親の経済力が低くても正答率が上位25%に入った子供の生活習慣として、(1)朝食を毎日食べ、毎日同じくらいの時間に寝ている(2)親と勉強や成績のことについて話をする(3)学校の宿題をし、規則を守る-などの特徴がみられた。

 全国学力テストの成績が都道府県別でトップなのは秋田県です。その一方で、秋田県の子どもたちの通塾率は全国で一番低い。また、秋田県の子どもは朝食摂取率が高く、早寝早起き率も高いというデータがあります。

全国学力テスト [ 2013年第一位 秋田県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
小学生通塾率 [ 2013年第一位 神奈川県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
中学生通塾率 [ 2013年第一位 奈良県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]

小学生朝食摂取率 [ 2013年第一位 島根県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
中学生朝食摂取率 [ 2013年第一位 秋田県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
小学生早寝早起き率 [ 2013年第一位 静岡県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
中学生早寝早起き率 [ 2013年第一位 長野県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]

 秋田県人が他県と比べて高学歴・高年収かというとそんなことはないわけです。だから、子どもを塾に通わせるよりも、子どもに早寝早起きをさせて、朝食をちゃんと摂らせ、学校でしっかり勉強させることの方がよっぽど低コストで学力向上につながるのではないかと思います。このへんをさらなる調査で明らかにしていってほしいところです。

震災から4年目の中間支援組織の役割について

 改めて、課題へのフォーカスが必要ではないか、ということを考えています。

 ともすると、中間支援組織は、NPOが活動している内容を通してしか課題を見ていないので、そこから見えること以上のものを把握できないおそれがあります。その場合、課題はあるのにそれに取り組むNPOがないため、課題の存在自体が見えないということが生じます。

 それから、今、復興支援活動として行われているNPOの事業のうち、ある程度の規模以上のものは公募助成の資金によることが多いのではないかと思いますが、公募助成にも同じような問題があると考えています。

 公募の助成金の審査では、当然ながら申請されてくる案件に対してフォーカスされます。申請事業はどのようなものか、申請団体は申請事業を遂行するだけの力量はあるか、信頼できる団体かとか。課題の大きさについては、多少は考慮されるでしょうが、それ自体が審査の対象になるわけではありません。それよりも、この事業は持続可能じゃないからとか、この団体は力量が足りないからとか、そういう理由で助成金は不採択になってしまいます。公募の助成金なのだから、それは当たり前のことです。

しかし、助成金が不採択になって、その課題に取り組むNPOがなくなったとしても、課題はそのまま残ります。また、公募しても誰も手を挙げない課題については、やはりそのままです。

 そうした状況を踏まえた上で中間支援組織が何をすべきか。私が考えているのは次のことです。丸数字は優先順位です。

 課題を特定した上で、

①課題と担い手をつなげる
②担い手同士をつなげる
③担い手と、課題解決に必要な社会的資源や外部支援者をつなげる

 そして、これと並行して「担い手を支える」があると考えています。また、課題に対する「嗅覚」を研ぎすますこと、自らも課題について調べてみることというのが前提です。

 そこで地星社でも、こうした動きをしていくべくちょっとずつ準備を進めています。被災地の「子ども」や「子ども支援」に重点を置いて情報を集め始めているのもその一環です。この他にも、ある特定の課題で、動きをつくっていきたいと思っているものがあります。

 また、当然ながら地星社だけでどうにかなる話ではなく、多くのみなさんと協力しながら進めていかないとどうにもならないことばかりです。布田としては今こんなことを考えていますということで、ここに載せておきます。

脱・助成金依存

 NPO向けの助成金申請セミナーは数多くあるけれど(私もつい先日講師で喋ってきたけれど)、震災から4年目を迎える被災地のNPOにとっては、脱・助成金依存セミナーの方が必要なのではないかと思いました。

 とにかくこの3年間は、震災後、急激に増えた社会的課題に立ち向かわなくてはならず、特に地元の団体は助成金・補助金を主な資金源にするしかなかったと思います。だからこそ、地星社でも助成金の情報を提供し続けてきました。

 しかし、助成金・補助金はいつまでも続くものではありません。特に収入のほとんどが助成金である場合、脱・助成金依存を図らないと、持続可能な事業とはならないでしょう。

・その問題に取り組む別の担い手を育てる(当事者に近いところで)。
・その問題を緩和させる別の取り組みをする。
・問題が悪化しないよう予防的な事業をする。
・何らかの手段で対価が得られるようにする。
・継続的に寄付を得られるようにする。
・行政の仕事にする(委託事業になるようにする)。
・それでも足りない分を助成金で得る。

 脱・助成金依存に特効薬があるわけではなく、上に挙げたようなことをそれぞれ時間をかけて取り組むしかないと思います。時間をかけないとできないことだから、早めに取り組み始める必要があります。

 というようなことを、どこかで議論できるといいんだけど。