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社会の課題解決にチャレンジするのは市民の権利である

地星社は「社会をよりよくする活動を行っている人や組織を支援し、増やしていくことで、私たちひとりひとりが地域づくり・社会づくりにかかわっていく社会の実現する」ことを目的として掲げている。

ではなぜ、「私たちひとりひとりが地域づくり・社会づくりにかかわっていく社会」を目指すのか。それについてはこれまで、震災後の新しい地域づくりには住民ひとりひとりのかかわりが必要であるということや、少子高齢化の社会の中でそれぞれの主体の合意形成が重要になることなどを挙げてきた。

しかし、自分でそう言っていながらややしっくり来ていない部分もあって、もっと本質的なことがあるのではないかと問い直してみた。

ひとりひとりのかかわりが必要とか、それぞれの主体の合意形成が重要などと言ってしまうと、地域づくり・社会づくりに参加することが義務のように受け取られてしまう。

そうではなく、地域づくり・社会づくりに参加することや、社会の課題に取り組むことは市民の権利なのだ。社会をよりよくしたいと思った人が、そのために何かに取り組む。その権利を擁護する、権利の行使を支援するのが地星社の役割と考えるともっとしっくりきた。

故・加藤哲夫さんは「ポイ捨てごみを拾うのは、市民の権利だ」と言って、その例から市民の自発的な問題解決行動の意義を説いていらっしゃったがまさにそれだ。社会の課題解決にチャレンジするのは市民の権利で、地星社はその権利を擁護する存在なのである。

というわけで、今度からこっちの説明を使おう。

地域に愛される大学のすすめ(NPO法人オンデマンド授業流通フォーラム、大学イノベーション研究会編)

地域に根ざした教育を展開している大学の事例として、松本大学、共愛学園前橋国際大学、南大阪地域大学コンソーシアムの3つが取り上げられている。昨今グローバル教育がもてはやされているが、教育の本質ということからするとむしろこういった取り組みに学ぶところの方が多いのではないか。地域に出かけて、地域の課題に取り組むということを、ぜひ多くの大学に体験してもらいたいと思う。

本書で紹介されていた2つの大学と1つの大学コンソーシアムの事例はどれも興味深いものだったが、ここでは南大阪地域大学コンソーシアムが行った事業をひとつ書いておく。

リンカーンマッチングプロジェクトというもので、「学生の学生による学生のための就職活動」である。活動は二つあって、ひとつは学生が地域の中小企業を取材し、就職情報誌をつくること。もうひとつはこの取材をもとに、学生が企業の紹介をする合同企業説明会「就コレ」を開催すること。

取材の前にはマナー研修やインタビュー研修もあって、社会と接するときの振る舞い方をみっちり教わる。そして、就職情報サイトなどでは出合わないような地域の中小企業の存在を知って、中小企業に対する先入観が変わり、地元の優良企業と認識するようになる。また、就職情報誌をつくる過程や、合同企業説明会でプレゼンをすることで文章力、表現力も鍛えられる。もちろん、これを最後までやり遂げることで得られることも大きいだろう。

このコンソーシアムは特定非営利活動法人の法人格を持って運営されている。地域の大学が会員として参加しているNPOなのだ。複数の大学が組むことでうまく相乗効果を挙げているようだ。全国に大学コンソーシアムは数多くあるようだが、私のような部外者からすると単位互換制度をやっている程度に過ぎないように見える。南大阪地域大学コンソーシアムのようなやり方を見習ってもよいのではないだろうか。

たとえ一人の作業であっても、マニュアルをつくってみると便利だよ

地星社の現場の業務は、基本的にフダが一人で担っていて、そこにボランティアや役員、会員がかかわってくれるという感じです。

だから、自分がやり方をわかっていればそれで済むことがほとんどで、これまで業務マニュアルをつくることもありませんでした。
しかし、いつか誰かにお願いできることもあるかもと思い、ある定型的な業務についていつもやっている手順を書き出し、簡単なマニュアルをつくってみました。

で、マニュアルをつくってみると、自分が次にその作業をやるときにいちいち次の手順を思い返さなくてよいので、けっこう効率よくできるようになりました。さらに、マニュアルをつくったことで業務の改善ポイントが見えやすくなり、抜けていた項目を追加したり、順番を入れ替えたりして、作業の効率をより高めることができました。人に手順を伝えるということだけでなく、自分用にも役立つものなんだなーと。

今更ながらのことかもしれないですけれど、自分としてはひとつの発見だったので、ここに書き残しておきます。たとえ一人の作業であっても、マニュアルをつくってみると便利だよ、と。

信頼と信用

信頼…関係性にもとづくもの
信用…外形的な能力や決まり、契約等にもとづくもの
※日常的な言葉の用法ではなく、フダによる便宜的な概念上の区分け

この区分けで言うと、信用は早くつくり出せるけれども、信頼は早くつくり出すことはできない。

例えば、ソーシャルベンチャーがあったとして、ビジネスモデルとか事業計画がしっかりしていれば、能力があるということはすぐわかる。だから、そこに信用が生まれ、助成機関なり、ベンチャーキャピタルなりが、じゃ、お金を出しましょうということになる。

それに比べると、信頼はそう簡単にはつくれない。小さな実績を双方が積み重ねていくことでできていく関係性で、つくるのには時間がかかるが、崩れるのは早い。

ソーシャルベンチャーのつまづきって、信頼と信用をごっちゃにして、信頼も早くつくり出せると錯覚しているから起きていることってわりとあるんじゃないかな。

わかりやすいモノやサービスをつくって、対価を取るビジネスであれば、信頼はなくても信用があればある程度まわると思うんですよ。だけど、人と人との関係性の基盤の上にあるビジネスはそうはいかない。

というようなことを、さなぶりファンドの公益認定記念フォーラムの帰り道に青葉通りを歩きながらつらつらと考えてました。
さなぶりファンドの助成先団体さんは、さなぶりについて「よく現場まで足を運んでくれて、相談に乗ってくれた」「信頼感があった」と大絶賛で、それは関係性を丁寧につくってきたことの現れでしょう。
そういうのがやっぱり大事なんですよね。うちも見習いたいです。

もう一つ考えていたのが、中間支援団体とか助成財団による、「信用」の前貸し/「信頼」の前貸し問題についてなのだが、まだ考えがまとまっていないので、とりあえず置いておく。

NPOの資金調達セミナーで話してきました

 3月5日のことなので少し前の話になってしまいますが、NPOの資金調達セミナーで話してきました。調子に乗って発表のときのスライドをアップしたので、このブログにも自分の活動の記録として載せておきます。

コミュニティオーガナイジングと社会運動

 ふらっとーほくの松島さんのお誘いで、コミュニティオーガナイジングの説明を聞く機会がありました。

ハフィントンポストでの紹介記事はこちら→「日本人に眠る能力を引き出したい」オバマ氏を大統領にした「コミュニティオーガナイジング」を広める鎌田華乃子さんに聞く「未来のつくりかた」

 コミュニティオーガナイジングを平たく言うと、社会運動すなわち市民による社会変革の手法を体系化したものとなるでしょうか。提唱者のマーシャル・ガンツ博士は60年代の公民権運動を始め、さまざまな草の根の市民運動に実際にかかわってきたそうです。2008年のアメリカ大統領選挙で、オバマの選挙参謀も務めたとのこと。さらに市民団体向けにコミュニティオーガナイジングのワークショップを開催しているそうです。

 それで思い出したのが国際青年環境NGOのA SEED JAPANが出していた本。『NGO運営の基礎知識』というタイトルで、今は絶版になっています。アマゾンのマーケットプレイスでお安く売っているので、NPOで活動している人だったら即買いすべし。

 A SEEDは、日本でようやくNPOという言葉が使われつつあった90年代から、市民活動のトレーニング手法をアメリカから学び、また自分たちでもプログラム開発を進め、それをまとめたのがこの本。98年に出された本ですが、内容的には今でもそれほど古びてないと思います。草の根市民団体や、学生団体などに特におすすめ。コミュニティオーガナイジングの手法とも重なる部分があるのではないかと思います。

 NPOで活動している人たちが、こうした社会運動の体系だった手法を学ぶのも大事ですが、社会運動そのものの理論を学ぶことも大事なのではないかと思っています。みんながみんな、小難しい理論を学ぶ必要はないですけど、概要くらいはね。

 大多数の人は知らないでしょうが、世の中には社会運動論という学問領域があって、実は私もそういうのをかじったことがありました。社会運動についてざっくりわかって読みやすい本と言えば、小熊英二さんの『社会を変えるには』が挙げられます。こちらはわりと最近出た本で2012年に出版されました。

 固い内容のわりにはけっこう売れたので、読んだことのある人や、名前を聞いたことがある方もいるかもしれません。新書なのに500ページを超えているのでけっこう分厚いです 笑

 小熊さんは歴史社会学が専門で、社会運動論の専門ではないため、かえって説明がわかりやすくなっています。また、社会運動の背景となる社会思想とか科学技術社会論などについてもページが割かれていて、現在私たちがいる社会の位置が確認できます。

 自分自身でも再度読み直してみたいと思います。

子どもの学力に影響するものは何か?

 全国学力テストと親の収入や学歴、読書活動、生活習慣などとの関連についての文科省の調査の結果が新聞各紙で取り上げられています。それぞれ見出しで各紙がどこを強調しているかがわかります。

高収入・高学歴の家庭、学力も高く…文科省調査 (読売新聞) – Yahoo!ニュース

年収高いほど子は好成績 文科省、全国学力テスト結果分析 :日本経済新聞

東京新聞:本、新聞読み正答増 学力テスト 国語、算数とも顕著:社会(TOKYO Web)

時事ドットコム:学歴・収入で子に学力差=勉強習慣、親の関与も影響-学力テストで分析・文科省

学力テスト好成績 親の経済力も相関関係 文科省調査 – MSN産経ニュース

 とりあえず、私が検索して目についたところをリンクしました。

 「親の年収・学歴が高いと子どもの学力も高い」ということが改めて裏付けられた結果となりましたが、なぜ「親の年収・学歴が高いと子どもの学力も高い」のかは、これらの記事からは必ずしも明らかになっていません。親の年収が高いと子どもを塾に通わせるなど、教育にお金をかけることができ、学歴が高い方が教育熱心だからというのが一番わかりやすい説明でしょうが、私はどちらかというとむしろ文化資本の違いの方が子どもの学力に対する影響として大きいのではないかと考えています。

 また、私が注目したのは以下のことです。上でリンクした産経新聞の記事より。

 親の経済力が低くても正答率が上位25%に入った子供の生活習慣として、(1)朝食を毎日食べ、毎日同じくらいの時間に寝ている(2)親と勉強や成績のことについて話をする(3)学校の宿題をし、規則を守る-などの特徴がみられた。

 全国学力テストの成績が都道府県別でトップなのは秋田県です。その一方で、秋田県の子どもたちの通塾率は全国で一番低い。また、秋田県の子どもは朝食摂取率が高く、早寝早起き率も高いというデータがあります。

全国学力テスト [ 2013年第一位 秋田県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
小学生通塾率 [ 2013年第一位 神奈川県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
中学生通塾率 [ 2013年第一位 奈良県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]

小学生朝食摂取率 [ 2013年第一位 島根県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
中学生朝食摂取率 [ 2013年第一位 秋田県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
小学生早寝早起き率 [ 2013年第一位 静岡県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]
中学生早寝早起き率 [ 2013年第一位 長野県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]

 秋田県人が他県と比べて高学歴・高年収かというとそんなことはないわけです。だから、子どもを塾に通わせるよりも、子どもに早寝早起きをさせて、朝食をちゃんと摂らせ、学校でしっかり勉強させることの方がよっぽど低コストで学力向上につながるのではないかと思います。このへんをさらなる調査で明らかにしていってほしいところです。