円環的時間の世界―学校、PTA、町内会、行政

政治学者の方が小学校のPTA会長を担って、PTAを改革し、保護者の負担となっていた会議やイベントを減らして、問題解決型の組織に変えていったストーリーが毎日新聞の記事になっていて、興味深く記事を読んだ。

もし政治学者がPTA会長になったら 岡田憲治・専修大教授 | 毎日新聞

コロナ禍でPTAに何が起きたか 岡田憲治・専修大教授 | 毎日新聞

PTAに限らず、何のためにやるのかよくわからないけれども例年のことだからやらざるを得ないことの多い、前例踏襲型の組織は少なからずある。そうした組織が、環境の変化に適応できず、日本社会の停滞の大元になっているようにさえ思う。

なぜ変化に適応できないのか。まったくの思いつきで生煮えの考えを書くけれど、それらの組織が「円環的時間」を前提とした組織のありようになっているからではないか。

円環的時間とは、春→夏→秋→冬と来て、また春に戻るというようなループする時間の流れだ。円環的な時間の流れの中で、特定の時期に特定のことをやることがあらかじめ決まっている。そうすると必然的に単年度主義になり、計画は原則として一年のもの、予算も1年の収入と支出がぴったり合うようにつくることが求められる。

この場合、前例踏襲で例年同じことをやるのがデフォルトになるだろう。こうした円環的時間の組織として思い浮かぶのは、PTAの他、学校、町内会、行政機関などだ。

円環的時間と対比的なのは直線的時間である。直線的時間は、2021年→2022年→2023年→2024年→ というように、過去から未来へずっと直線として延びていく時間の流れである。そうすると例年決まった時期に同じことをやる必要はない。環境の変化に応じた組織の変化も可能になる。

PTAや学校、町内会といった組織が、円環的時間に合わせたものになっているのにも理由があるのだろう。それでも、そこに直線的時間を持ち込むことで、組織の硬直から抜け出すことも可能なのではないか。