価値観の変わる方向性

ネットで、下ネタや武勇伝にはこう返す!職場の「おじさん」対処法という記事を見つけた。CanCam.jpの記事で、若い女性会社員を対象読者としたものだろう。記事には2015年11月2日作成とある。

この記事において【対策】として書かれてあることと、【NG例】として書かれてあることが、2021年の現在ではことごとく逆に思えてしまって興味深い。例えばこんな感じ。

◆周囲が凍りついてもお構いなし「ダジャレおじさん」
【対策】たとえ面白くなくてもとにかく笑う
【NG例】「どういう意味ですか?」質問する

下ネタや武勇伝にはこう返す!職場の「おじさん」対処法

→2択であれば、NG例の方を取りたい。おもしろくなくても受けたフリをすると、おじさんは図に乗るおそれがあるので、聞こえなかったふりをするのがよいだろう。それでもしつこく続くようであれば「それってどういう意味ですか?」と詰めて、黙らせてみてはいかがだろうか。

◆「セクハラです」と言えれば楽ですが……「下ネタおじさん」
【対策】不快な気持ちでもコミカルに怒る
【NG例】軽蔑の目で見て無視する

下ネタや武勇伝にはこう返す!職場の「おじさん」対処法

→これも基本は無視でよいだろうが、なかなかやめないようであれば「それってセクハラですよ」と、軽蔑のまなざしで教えてあげるのが本人のためにもよいのでは。笑って返したりするとおじさんはつけ上がる。下ネタおじさんを2021年の人権感覚にアップデートしてあげよう。

◆昔のオレ自慢はうんざり「武勇伝語りおじさん」
【対策】一度は聞くことでおじさんもご機嫌に? 本気でほめて話題を切り替え
【NG例】「その話、前にも聞きましたよ」と伝える

下ネタや武勇伝にはこう返す!職場の「おじさん」対処法

→「その話、前にも聞きました」と返すのは秀逸な返しでは 笑 それでも語りが続くようなら、「今忙しいので」と言って自分の仕事に戻るなり、会議などの場であれば「では、本題に戻りましょう」と一声かけるとよいだろう。

だじゃれや武勇伝語りは、下ネタと違ってハラスメントとまでは言えないかもしれないが、がまんして聞かざるを得ないのは、年上と年下(上司と部下)というだけでなく男性と女性という二重・三重に非対称な権力関係にあるからだろう。人間関係上、一定の許容はありつつも、あまりかまってられないようであれば女性の側でそれなりの対応をすることも必要だと思う。今は2021年なんだし。

さて、数年くらいでもけっこう社会の価値観は変わるものだというのが率直な感想である。しかし、価値観は変わりうると言っても、今日の社会におけるジェンダー感覚が過去の時代に後戻りとはならないだろう。その歩みはゆっくりだったり急だったり、たまにバックラッシュはあったりするけれど、人権やジェンダーの価値観は平等の方へは向かっていると思う。

価値観の変わっていく方向がわかっているなら、むしろその動きを先取りするくらいでいいと思うのだが、社会の制度などはなかなか変わらないのが残念なところだ。せめて自分のかかわる範囲では、そうした方向性を踏まえた動きができるよう努めたい。

私も年齢的にはおじさんで、だじゃれや下ネタは言わないものの、武勇伝語りなどはしてしまうかもしれない。えらそうにしておくのは、細々と書いているこのブログくらいに留めておこう。