先日、寄りあいNIPPONというイベントに参加してきました。東日本大震災からの復興を通じて、東北から日本の未来を創造しようという趣旨で開催され、いくつかの分科会に分かれて参加者で議論を行いました。
私が参加したのは「自立とコミュニティ」という分科会。沿岸被災地のある自治体での取り組み例が紹介されました。そこでは、いくつかの地区ごとに生活支援のセンターを設置しています。地域福祉と社会教育、地域保健の機能を兼ね備えたセンターのようで、行政窓口サービスも一部あるようです。そのセンター単位で、孤独死防止などを目的とした地域の見守りネットワークづくりをつくろうとしていて、8ヶ所のうち2ヶ所で見守りネットワークができたということでした。
この自治体に限らず、今後の超高齢化社会においては、地域コミュニティという小さな単位の中で相互扶助の体制ができないと、福祉が成り立たなくなる地域が出てくるのではないかと思っています。そうした地域内相互扶助で間に合わない部分を、NPOや専門機関が担ったり、あるいは行政が担うという、いわば補完性の原理にもとづいた地域福祉のシステムをつくることが必要でしょう。福祉に限らず、まちづくりや防災、社会教育、環境保全、あるいはコミュニティビジネスなど地域が主体となり、担っていくというイメージです。
しかし、分科会での議論に話を戻すと、住民主体の見守りネットワークを地域ごとにつくりませんかと役所の人が住民に話したら、「行政がすべきことを住民に押し付けるのか!」というような反発が起きて、そのためまだ8ヶ所中2ヶ所なのだとか。
こういう反応が起きるのもわかるし、これはなかなか難しい問題です。役所のお仕着せで形だけ見守りネットワークをつくっても、あまり機能しないかもしれません。地域コミュニティの自発性に任せると、いつそれができるのかわかりません。役所が地域コミュニティに自発性が生まれるよう仕向けるというのもややどうかと思いますしね。
地域コミュニティと行政との間で、地域課題への認識を共有し、その解決にあたっての役割分担を明確にするようにしないとだめなのでしょう。実際にそういう取り組みがなされている地域はありますから、そういう事例から学んでいくのがまずはよさそうです。
あと、行政が主、住民/地域コミュニティが従といった図式を、双方が反転させないといけません。これは、地域経営の主体という意味での主と従です。行政がサービス提供者、住民/地域コミュニティが客という認識があるならば、それも変えていかないといけないということでもあります。